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アルコールを含む奈良漬を食べても大丈夫?飲酒運転・妊婦・子供等
- 2017年5月31日
- テーマ:コラム
目次
酒粕を使ってできる奈良漬、とても美味しいですよね。でも、実はこの奈良漬には、その製造過程に酒粕が使われていて、意外とアルコール分が含まれています。そこで、今回はこの奈良漬に含まれているアルコール分に関して、よくある疑問にお答えしていきたいと思います。
奈良漬に含まれているアルコール分はどれくらい?
まず最初に、奈良漬にはどれくらいのアルコール分が含まれているのでしょうか。農林水産省が定める「農産物漬物の日本農林規格」によれば、奈良漬とされるためには3.5%以上のアルコール分が含まれている必要があります。
食品に含まれているアルコール分の比較
しかし、これだけでは少しわかりづらいので、他の食品に含まれているアルコール分と比較してみましょう。
・ビール 5%程度
・日本酒 15%-16%程度
・ワイン 15%前後
・ウイスキーボンボン 2%前後
・栄養ドリンク 1%未満
・甘酒 1%未満
いかがでしょうか?奈良漬には意外とアルコール分が含まれていることがおわかりいただけたかと思います。では、このように意外とアルコール分を含んでいる奈良漬を食べることによって何か問題が生じることはあるのでしょうか?まず、飲酒運転との関係からみていくことにしましょう。
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奈良漬を食べて車を運転したら飲酒運転になるの?
これについては警察庁が交通事故総合分析センターに委託しておこなったおもしろい実験がありますのでご紹介しましょう。その実験よれば次のようなことがわかりました。
・奈良漬を通常想定される量、摂取した場合のアルコール量
缶ビール1缶分をはるかに下回る量である。
・また、この場合に、20分後に呼気アルコール濃度を検知器で測定したが、
呼気中からアルコールを検知することはできなかった。
・また、同じく、この場合に、運転シミュレーター実験でも
運転能力に特に低下はみられなかった。
※警察庁「アルコールが運転に与える影響の調査研究の概要」より
※参照: https://www.npa.go.jp/koutsuu/kikaku/insyuunten/koutsuuziko-kenkyu.pdf
以上から、適度に奈良漬を食べて車を運転したとしても、問題はないということがわかります。
飲酒運転になる程度の奈良漬の摂取量は?
では、仮にどの程度の奈良漬を食べると飲酒運転になる可能性があるのでしょうか?
「適正飲酒の普及・啓発」と「未成年者飲酒防止」を二つを柱として活動している「アルコール健康医学協会」によれば、アルコール分5%の奈良漬を60切れほど食べると理論的には酒気帯び運転の基準値を超える可能性が出てくるそうです。
しかし、普通はこんなには食べられません。ちなみに飲酒運転で捕まったときに「奈良漬を食べただけだ!」と言いわけする人もいるそうですが、下手な言いわけは警察の心証を悪くしてしまいますので、止めておいた方がいいでしょう。
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妊婦さんが食べても大丈夫?
妊娠している場合には禁酒することが原則です。これは妊婦さんが飲酒すると、胎盤を通って胎児に直接アルコールが届いてしまうために、胎児の発達にさまざまな悪影響を与えてしまうからです。特に妊娠初期に過度の飲酒をすると、胎児性アルコール症候群のリスクが高まることがわかっています。
胎児性アルコール症候群とは
この胎児性アルコール症候群になると、胎児に次のような症状が現れます。
・顔面を中心とした障がい
・低体重等の発達障害
・中枢神経系の障害
このように胎児に悪影響を与えてしまう妊娠中の飲酒ですが、厚生労働省の調査によると、平成25年の現状値で、4.3%もの妊娠中の女性が飲酒しており、これを憂慮した厚生労働省では、「健康日本21」において、平成26年度までにこれを0%とする目標を掲げています。
※参照:健康日本21(第二次)分析評価事業
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kenkounippon21/kenkounippon21/data05.html
胎児に影響がないという飲酒に関する安全量とは
以上を踏まえて、妊娠中に奈良漬を食べることに問題はないのか考えてみましょう。この点で参考になるのが、日本産婦人科医会のアルコールによる胎児性アルコール症候群の発生リスクの見積りです。日本産婦人科医会によれば、缶ビール350mlについて次のように胎児性アルコール症候群の発生リスクを見積もっています。
・1缶未満 胎児への影響は少ない
・6缶以上 障がいの発生が明らかに高くなる。
・8缶以上 胎児性アルコール症候群の発生率30%-50%
※一日当たりの摂取量
この見積りからもわかるように、日本産婦人科医会によれば、これ以下であれば胎児に影響がないという飲酒に関する安全量については確立しておらず、また厚生労働省も、全妊娠期間を通じて、例え少量であっても、飲酒は胎児に影響を与える可能性を否定できないとしています。
以上から、確かに、奈良漬に含まれているアルコール分は多いものではありませんが、やはり妊娠中は避けた方が無難でしょう。しかし、どうしても食べたい方はかかりつけの産婦人科医にご相談なされることをおススメします。
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子供が食べても大丈夫?
未成年者の飲酒は法律によって禁止されています。それは、未成年者は発育途上にあり、また未熟でアルコールを分解する能力も十分ではないために、その飲酒には次のような問題があるためです。
・脳の発達に障害が生じる。
・肝臓や膵臓に障害を与える。
・性腺の機能に障害を与え、生理不順等を引き起こす。
・急性アルコール中毒になりやすい。
・アルコール依存症になりやすい。
以上の理由から、未成年者の飲酒は法律上禁止されていますが、では、アルコールが含まれている奈良漬を食べても未成年者の心身に問題はないのでしょうか?この点は、小さな子供を除いて、普通の食事で普通に食べる程度であれば、アルコールの量はごく微量であり、問題はないと思われますが、小さな子供の場合はやはり避けられた方が無難でしょう。
まとめ
いかがだったでしょうか?今回は奈良漬に含まれているアルコール分について、よくある疑問について考えてきました。妊婦さんと小さな子供以外、通常の食事で普通に2-3切れ食べる程度あればまず問題はありません。みなさんも、美味しく、しかも健康によいと言われている奈良漬を上手に食生活のなかに取り入れていただけたらと思います。
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