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酒蔵が集まる酒処、久留米市城島町にある「旭菊酒造」は1900年創業。
現在、四代目蔵元(代表取締役社長)の原田憲明さん(以下、原田社長)は杜氏でもあり、息子である頼和さんも酒造りの現場に親子で立っています。
原田 頼和さん:
「今でこそ、蔵元杜氏という酒蔵はいくつもありますが、父が蔵元杜氏になった時は全国的にも珍しかったでしょうね。親子で酒造りに携わっているという蔵もそんなに無いでしょうね。
目指す酒を造り、販売まで思いを共有出来るのは、蔵元杜氏のうちの強みといえます。家族経営の小さい蔵ですが、だからこその風通しの良さもありますね。」
三代目(頼和さんのお祖父さん)は杜氏ではなく、父、憲明さんの代からの蔵元杜氏。その理由を尋ねると「その時の杜氏が病に伏せられて。『父が杜氏になるならいい』と言われてなったそうです。」
とはいえ、それまで酒造りをしてきたわけでもない原田社長は、師をもたず一から独学で酒造りを覚え、今に至ります。
2010年5月、原田社長が杜氏になりたての頃の大変さを物語る逸話にもなり、頼和さんが旭菊に戻ってくるきっかけとなる大事件が、旭菊酒造に起こります。
仕込み蔵が全焼する火事でした。
頼和さん: 「父からは特に蔵を継げ、とは言われたことはありませんでした。『継ぐもんだ』とは漠然と思っていましたが、東京農業大学の醸造科に通い、卒業後も家業にはすぐ戻らずに酒以外の業界で働く予定でした。それが、4年生の時に火事があり戻らなきゃ!と、これは『戻れと神様から言われている』と思いましたね(笑)」道具も麹室も全て焼けてしまった大火事でした。
「杜氏になった時の方がよほど大変だったようで(笑)火事で焼けたけど、酒の造り方は父の『頭に全部あるから。』と言ってました。」
とはいえ、全てを失った酒蔵を再生するために戻るのは並大抵の覚悟ではないはず。
「家業だから、というのもありますが、火事があったことで初めて周りの評価を知ったんです。こんなに求められていたのなら守らないと、と。蔵にとっても、私にとっても、あの火事は『転換期』だったと思っています。」
食事に合わせて、というより「食事をより引き立てる」日本酒であるために、旭菊酒造は『主張しすぎない』酒造りを心がけています。
頼和さん:
「時代の流れに逆らって、はみ出そうとしたわけではないのですが、昔ながらの酒造りを貫いている結果、少し特異な存在にはなってますね。」
冷やして飲む、フルーティな香りを楽しむ。日本酒のイメージも新しく変化している中、旭菊酒造が考える日本酒の原点とは?
「お酒単体で楽しむより、食事と合わせることで酒がすすむと思っています。それにより会話も弾み、食事を楽しくする空間になる。食事の時間って、日々の疲れをいやす一時でもあると思うんです。その大切な時間をもっと楽しくする役割。お酒は、主役の食事を際立たせる脇役的な存在だと考えています。」
旭菊酒造のお酒は、自らが強く主張するような存在ではありません。
お酒のみを楽しむというより、食事と合わせることで印象が変わります。
冷たくひやして飲むお酒が増える中、旭菊酒造のお酒は『ぬる燗』や『熱燗』で飲むことも勧めています。
「もっと日本酒を楽しめると思います。お米は温かく調理して食べますよね?米から造られる日本酒も、温かくすることで味わえる美味しさもあるんです。」
旭菊酒造のお酒はどうやって飲むのが美味しいですか?
『綾花(あやか)』は、地元の山田錦で造った優しい味わいのお酒です。
日本酒をあまり飲んだことがない方には、こちらがオススメですね。
『綾花』を飲んで日本酒を好きになりました。という声もあるほど飲みやすいお酒です。
冷やしても美味しいですが、ぬる燗~上燗(45度)が『綾花』に適した温度です。
ある程度お酒を飲まれる方には、『大地』をおススメしています。
『大地』は、福岡県糸島産の無農薬栽培の山田錦で造っています。
味は日本酒らしい辛口で、酒単体と言うよりも食べ物と合わせて飲んでいただくと真価を発揮するお酒だと思っています。
最近はレンジで簡単に燗をつくる方法がありますが、温度が一気に上がるレンジよりは湯煎に陶器のとっくりで温めるのが、やっぱりオススメと話す頼和さん。
温度帯によって変わる味わい、お料理に合わせた温度帯、同じお酒でも味わいが変化する日本酒の奥深さは、こだわればこだわるほど沢山の味を楽しめる世界です。
一手間かけて燗をつくり食事の時間をより楽しんでください。