松本酒造の酒造り
松本酒造では「原料に勝る技術なし」を製造基本方針としており、妥協しない原料米選択の上に、熟練の技術と蔵人の真心で醸しております。但馬杜氏の流儀を基本として継承しながらも、より丁寧な手作りを取り入れる新進気鋭の方針で技術継承と品質向上を並行して実行しております。当社仕込み蔵のクラシックな外観に恥じない、「非オートメーション生産」によるクラフトワークとしての徹底した酒造りによって本当の「美味しさ」や「楽しさ」のわかる日本の「酒文化」を、これからも伝えて続けていこうと考えています。
桃の滴
松本酒造の南東数百mに西岸寺(さいがんじ)(油懸(あぶらかけ)地蔵(じぞう))という古寺があります。江戸時代、俳聖・松尾芭蕉が当時の任口(にんこう)上人を訪ねて、「我(わが)衣(きぬ)に ふしみの桃の 雫せよ」と詠みました。「伏見桃山」の地名が残るこの地域の名産であった「桃」の「しずく」に上人の徳を例え、その徳に一滴でも肖りたいと詠じた芭蕉の心がふくよかに香る名句です。句碑も西岸寺に現存しています。弊社は芭蕉の心をわが心として丹精こめて磨き上げた味と香りの逸品にふさわしい商標とし、命名しました。上質な米から溶け出てきたコクのある上品な美味と麹や酵母が作り出す豊かな味わいの中に果物の味を感じさせるほのかな香りが、呑むたびに桃源郷へと誘う「桃の滴」の特徴です。